頭痛外来(毎週火曜日・金曜日午前) 東京脳神経センター病院

 頭痛は誰もが経験したことのある症状ですが、日常生活に支障をきたすつらい症状になることもあります。そのため重篤な頭痛が襲ってきたときに、その痛みを周囲に理解してもらえず、悩んでいる人は少なくありません。

 当院の頭痛外来ではまず頭痛に関して詳しく問診を行い(発生時期、痛みの持続期間、頻度、痛み方など)、当日にMRI検査、CT検査を実施し、その頭痛を診断いたします。頭痛には大きく一次性頭痛と二次性頭痛に分けることができます。二次性頭痛には緊急での治療が必要なものがあります。そのため一番大切なことは、その頭痛の原因が生命にかかわるものかどうかを見極めることとなります。

 二次性頭痛のうち、特にくも膜下出血、脳出血は速やかな加療が必要です。当院は緊急のMRI検査も可能で急性期病床を持っており、即座に入院対応することが可能です。同医会の森山記念病院は二次救急指定病院でもあります。

危険な頭痛の特徴

  • 今までに経験したことがない頭痛
  • 急激に起こった頭痛
  • 意識障害を伴う頭痛(もうろうとなる)
  • 痛みが数日かけてどんどんひどくなる頭痛
  • 原因不明の、高熱、嘔気、嘔吐を伴う頭痛
  • 手足の麻痺、物が二重に見える、言語障害、などの神経症状を伴う頭痛

 頭痛を起こす病気は、たくさんあります。普通の頭痛と思っていたけど、実は怖い病気が隠れていたということもあるので、必ず一度は診察を受けて、自分の頭痛を診断してもらうことが重要です。自分の頭痛がどの病気かが分かれば、適切な対処方法、または予防方法や守るべき生活習慣等が分かるので、頭痛治療の第一歩が踏み出せます。


一次性頭痛

頭や体には頭痛の原因となる他の病気は見られないタイプの頭痛です。それにもかかわらず慢性的に頭痛が起こります。頭痛患者さんの多くがこのタイプです。片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛をはじめ国際頭痛分類では10種類以上の一次性頭痛が提唱されています。

片頭痛

月に1回から数回、強い痛みが生じます。頭痛が出現してから、ズキン、ズキンと脈打つ様に感じかなりひどく痛みます。仕事や家事を続ける事が困難な程度で、頭痛の程度は強いです。人によっては頭痛が生じる前に何らかの前触れを感じ、ギザギザ模様の光が徐々に視界に出てきて眼が良く見えなくなるような症状が典型的です。

頭痛時には、明るい光や大きな音が嫌に感じ、嘔気や嘔吐などの症状を伴います。この頭痛の特効薬として最近登場した薬がトリプタン製剤です。服薬方法に注意事項もありますので、片頭痛の発作に苦しんでいる方はぜひ頭痛専門医に相談ください。

片頭痛のメカニズム

頭部の血管が拡張し、炎症を起こして痛みが発生するのが片頭痛ですが、その発生の原因にはいくつかの説があります。一つが頭部の血管が神経伝達物質の過剰により拡張することによって頭痛が起こると考える説です。 もう一つが脳神経の中で最も大きい三叉神経(顔の周辺の感覚を脳に伝える神経)が関与しているという説です。

緊張型頭痛

一番多いタイプの頭痛で、首や肩のこりを伴う事が多く、頭痛は後頭部が中心ですが、頭全体の場合も多いです。ジワーッとした鈍い痛みが長時間続きます。

通常、日常生活をおこなう事はできるのが普通です。嘔吐を伴うことはまずありません。無理な姿勢の維持や長時間のパソコンの使用などによって頭から肩にかけての筋肉が緊張し血流が悪くなると、乳酸などの疲労物質が筋肉にたまり、これが神経を刺激して痛みを引き起こすと考えられています。また精神的なストレスも頭痛の原因となります。精神的に緊張した状態が長期間続くと、脳の痛みを調整する部位がうまく働かなくなり頭痛を引き起こしてしまうと考えられています。

群発頭痛

群発頭痛も片頭痛と同様に発作的に起こる頭痛です。年に数回から数年に1回くらい激しい頭痛が続きます。(群発)。男性に多く、いつも決まった側に頭痛がおこります。頭痛の間はじっとしていられず、転げまわる人もいるほどです。片側の目の奥が強烈に痛むのが特徴で、同じ側の目や鼻に涙・鼻水・鼻づまりなどの症状が生じます。この頭痛にもトリプタン製剤が効果があります。

二次性頭痛

脳や身体の病気が原因で起こる頭痛です。くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍などがあり、生命にかかわる事もあります。直ちに医師の診察を受ける事が大切で、入院での治療が必要になります。

くも膜下出血

出血する前までは無症状の事がほとんどですが、一度出血すると突然激しい頭痛が起こり、吐き気や嘔吐を伴います。“後ろからバットで殴られたような“などと表現する患者さんもおられます。出血の程度により、他の神経症状がほとんど無い場合もあれば、重篤なものでは意識を失い昏睡状態に至る場合まであります。

脳出血

手足のしびれや麻痺、意識障害、ろれつが回らなくなるといった症状を伴い、頭痛が徐々に強くなります。

脳腫瘍

腫瘍が少しずつ大きくなるに従い、脳圧が上昇し頭痛が悪化します。数年~数ヶ月の単位で少しずつ頭痛がひどくなります。多少の変動はありますが、一度悪化した頭痛が自然に改善する事はまれです。頭痛の他に、嘔吐やけいれん・手足の麻痺・言語障害・視力の低下・視野が狭くなるといった症状が現れる事もあります。

慢性硬膜下血腫

お年寄りに多いですが、若い人にも起こります。頭部の打撲の後、数日~数ヶ月間かけて血腫が頭蓋骨の内側に溜まります。従って徐々に頭痛が悪化します。また脳が圧迫されるためぼけ症状や麻痺も同時に悪化していきます。

三叉神経痛

顔の周辺の感覚(痛い、触った、冷たい、熱いなど)を脳に伝える神経が三叉神経ですが、この三叉神経に痛みが起こり、顔を痛く感じる病気です。痛みは非常に強いものですが、突発的な痛みです。一瞬の走るような痛みで、数秒のものがほとんどで、長く続いてもせいぜい数十秒です。三叉神経痛では痛みはいろいろな動作で誘発されます。

洗顔、お化粧、ひげそりなどで顔に痛みが走ります。そしゃく(ものをかむ動作)に誘発されることもあります。冷たい水を飲むと痛みが走ることもあります。痛みで歯磨きができないこともあります。触ると痛みを誘発されるポイントがあり、鼻の横などを触ると、顔面にぴっと痛みが走る、という場合は三叉神経痛の可能性が高いです。 季節によって痛みが変動するのも特徴で、11月や2月に痛みがひどくなる方が多いです。三叉神経には三つの枝があって1番目の枝がおでこ、2番目の枝がほほ、3番目の枝が下あごにいっています。この枝の範囲に痛みがおこるのが特徴です。1本の枝にだけ痛みが出る場合と、2本以上にでることがあります。たとえば1番目と2番目(おでことほほ)、あるいは2番目と3番目(ほほと下あご)というような分布の痛みが起こります。しかし1番目と3番目というようにスキップして痛むことはありません。三叉神経が血管に圧迫されていることが原因です。テグレトールなどの抗痙攣剤の内服が著効し、当院で微小血管減圧術、高周波電気凝固術などの手術加療をおこなうことも可能です。

三叉神経症

顔に1秒~2分間持続する発作性の痛みで、うずく痛みが発作のない時に持続する場合もあれば持続しない場合もあります。顔の周辺の感覚(痛い、触った、冷たい、熱いなど)を脳に伝える神経が三叉神経ですが、この三叉神経に痛みが起こり、顔を痛く感じる病気です。

三叉神経には三つの枝があって1番目の枝がおでこ、2番目の枝がほほ、3番目の枝が下あごにいっています。この枝の範囲の1つまたはそれ以上の部分に痛みがおこるのが特徴です。三叉神経に圧迫血管以外の原因病変があります。内服加療をおこなうことが多いですが、大脳皮質運動野刺激術による手術治療も可能です。

一次性頭痛(慢性頭痛)を持っている人の場合、二次性頭痛が発生しても「いつもの頭痛だ」と考えてしまうことがあります。しかし二次性頭痛は、命に関わる病気の症状として発生している場合もあります。痛みの程度、その他の症状などからいつもと違うと感じた時にはすぐに受診してください。


高周波電気凝固術
高周波凝固装置で、三叉神経の末梢を凝固することにより痛みはかなり取れます。ただし顔面の知覚低下、しびれが生じます。それでも外来で比較的簡単に治療ができるので、入院しなくてもよいという利点があります。高齢であったり、体力がなかったりして全身麻酔による手術が不可能な方、または手術をおこなったが効果が不十分な方、どうしても手術が嫌だという方に良い治療法です。
具体的には、ほほ(三叉神経の2番目の枝)、下あご(三叉神経の3番目の枝)に直接、皮膚から細い電極を刺し、1分から5分間、高周波電流を流します。その間は、電極刺入部にピリピリした痛みを感じることがあります。痛みに耐えられないときは、少し局所麻酔薬を注入してからおこないますが、電極を刺して終了するまでの時間は、大体15分から30分位です。ピンポイントに神経を凝固するので、大きなトラブルが起こることがないので、終わったらすぐに帰宅できます。効果の持続期間は約1年から2年ですが、再発しても繰り返し可能です。
大脳皮質運動野刺激術
大脳皮質運動野を電気刺激することにより、大脳皮質知覚野と視床で発生している異常活動が抑制され痛みが軽減します。